
2026年10月17日
鶴見岳 別府ロープウェイで上る山頂と十文字原展望台・扇山・志高湖
別府ロープウェイで上る鶴見岳の山頂から見える別府湾の眺めと、温泉の守り神をまつる信仰、冬の霧氷を紹介します。夜景で知られる十文字原展望台と扇山、山腹の志高湖と神楽女湖もまとめました。
鶴見岳の山頂からは、別府の町と別府湾を見おろせます。大分県別府市にある標高1,375mの活火山で、日本三百名山(名山として選ばれた山々)の一つに数えられます。別府八湯と呼ばれる八つの温泉地は、この山の東のすそ野にある扇状地(土砂が扇の形につもった土地)に広がります。市の北西部の高原には十文字原展望台が、その近くには扇山があり、山の南東の山腹には志高湖と神楽女湖があります。
別府の町と湾を見おろす山頂
山頂から東を向くと、別府の町並みと別府湾が足もとに広がります。晴れた日には四国や中国地方まで見わたせ、遠くにはくじゅう連山も見えます。すぐ西には由布岳がそびえ、南には城島高原を見おろせます。
山頂の近くまでは、別府ロープウェイが通じています。標高503mの中腹と、標高約1,300mの山の上を結ぶ索道です。1962年の開業のとき、101人が一度に乗れるゴンドラは、世界で初めてのものだったとされます。上る途中のゴンドラの中からも、別府湾や由布岳が見えます。
山の上には、福をまねくとされる七人の神が、鶴見七福神としてまつられています。山頂には、火男火売神社(通称は御嶽権現)の奥院(神社の奥にまつる社)として、石でつくった小さなほこらがあります。
この神社は、別府八湯の守り神として信仰を集めています。山の二つの頂を男女の神としてまつり、始まりは771年とされます。
『伊予国風土記』の逸文(ほかの本に引かれて残った部分)には、この山のふもとに湧く「速見の湯」の神話が残ります。伊予は、いまの愛媛県にあたる昔の国の名です。大国主命が、海の底に通した管で、この湯を伊予の道後温泉へ引いたと伝わります。
春の桜から冬の霧氷まで
この山の冬の名物とされるのは、霧氷(霧が凍って木の枝などについたもの)です。ロープウェイの山上の駅から山頂にかけて、木々の枝が白く染まる日があります。
春は、桜とツツジの仲間のミヤマキリシマが、山をいろどります。ロープウェイの中腹の駅の隣には、自然公園「四季の里」があります。ソメイヨシノを中心に、数種類の桜が咲く園として知られます。夏の山の上は避暑に向き、秋は紅葉が山の色を変えます。
夜景で知られる十文字原展望台
展望台が立つ十文字原(じゅうもんじばる)は、別府市の北西部に広がる高原で、展望台の標高は500mです。
展望台は大分県内でも指折りの夜景の名所とされ、2004年に「日本夜景遺産」に認定されました。夜には、別府湾に沿った市街地の明かりに、行き交う車のライトが加わります。
昼は、眼下の別府市街から北の国東半島までを見わたせ、高崎山の向こうには大分市の市街地も見えます。天気がよければ、四国まで望めるとされます。展望台のまわりには高い木が少なく、眺めが大きくひらけています。
草原が扇の形に見える扇山
別府の市内から見ると、山頂から山腹へ広がる草原が、扇を逆さに広げたように見える山があります。十文字原の近くにある、標高815mの扇山(おうぎやま)です。正式な名前は大平山(おおひらやま)ですが、地元では扇山の呼び名で知られます。鉄輪温泉の湯けむり展望台からも見わたせる山です。
「扇山火まつり」は、この草原で毎年春の夜におこなわれる野焼き(枯れ草に火を入れて焼くこと)です。野焼きそのものは以前から続いていて、温泉神社の神事となったのは1976年からです。冬のあいだ山で休んでいる温泉の神々に、春を告げる意味があるとされます。
ふもとの「扇山桜の園」は、ソメイヨシノやサトザクラなど、6,000本の桜で知られます。
遊歩道で結ばれた志高湖と神楽女湖
志高湖と神楽女湖は、別府ロープウェイの通じる山の南東の山腹にあります。二つの湖は遊歩道で結ばれ、どちらも阿蘇くじゅう国立公園に含まれます。
志高湖
志高湖(しだかこ)は、海抜約600mの高原にある湖で、まわりの山々の中に由布岳がそびえて見えます。湖畔の桜が咲く春から、雪景色の冬まで、湖のまわりの色は季節ごとに移ります。市街地より、体感温度が5度ほど低いとされます。
この湖は、噴火による地形の変化でくぼんだ土地に、雨水がたまってできました。水が流れ出す川はなく、周囲は約2kmです。戦前は、別府三勝(別府の三つの景勝地)の一つに数えられた湖です。湖畔では、1958年に全国植樹祭が、1977年には初めての全国育樹祭が開かれました。
神楽女湖
神楽女湖(かぐらめこ)は、志高湖の南東にある周囲1kmほどの湖です。湖畔の神楽女湖しょうぶ園は、80種、30万本の花しょうぶで知られます。園の始まりは1980年に植えられた花しょうぶで、その後も株分けや手入れが続けられてきました。
湖の名は、平安時代の伝説によるとされます。鶴見岳の社の歌舞女(歌や舞をつとめる女性)が、湖のほとりに住んでいたと伝わります。湖越しには、この山と由布岳が並んで見えます。湖のまわりではひつじ草などのめずらしい植物が育ち、約30種類の野鳥がすむとされます。
出かける前に
山頂の眺めと信仰、季節の色に続いて、十文字原展望台と扇山、山腹の二つの湖を取り上げました。この記事は2026年10月に書きました。ロープウェイや展望台のようすは変わることがあるので、出かける前に別府市の観光の案内で確かめてください。
よくある質問
- 鶴見岳の山頂からは何が見えますか。
- 東に別府の町並みと別府湾、すぐ西に由布岳、南に城島高原が見えます。晴れた日には、四国や中国地方まで見わたせます。
- 鶴見岳の霧氷は、いつどこで見られますか。
- 冬に、別府ロープウェイの山上の駅から山頂にかけて、木々の枝に霧氷がつくことがあります。霧氷は、この山の冬の名物とされます。
- 十文字原展望台の夜景はどんな眺めですか。
- 別府湾に沿った市街地の明かりに、行き交う車のライトが加わる眺めです。2004年に「日本夜景遺産」に認定されました。
- 志高湖と神楽女湖はどんな湖ですか。
- どちらも鶴見岳の南東の山腹にあり、遊歩道で結ばれています。志高湖はまわりの山々の中に由布岳が見え、神楽女湖は80種、30万本の花しょうぶで知られます。

