
2026年10月17日
九重“夢”大吊橋 高さ173mの橋から見る震動の滝と九酔渓の紅葉
大分県九重町の九重“夢”大吊橋から見える、震動の滝の雄滝と雌滝、鳴子川渓谷、紅葉の名所の九酔渓を紹介します。高さ173mの橋が架かるまでの歩みや、震動の滝が古い文献に現れる話もまとめました。
九重“夢”大吊橋(ここのえ“ゆめ”おおつりはし)は、大分県九重町の鳴子川渓谷に架かる、歩道専用の吊橋です。橋の上からは、すぐ目の前に震動の滝の雄滝と雌滝、足もとに鳴子川渓谷の原生林が見渡せます。紅葉の名所として知られる九酔渓(きゅうすいけい)も、この橋から眺められる谷です。
高さ173mの歩道専用の吊橋
橋は、川底から173mの高さに架かっています。歩道専用(人が歩いて渡るためだけの橋)の吊橋としては、高さが日本一とされます。床の中ほどは、すのこ状の格子になっていて、足もとから下が見えます。長さは390m、幅は1.5mで、車椅子どうしもすれ違えます。橋を吊る主塔は、高さが43mあります。大人1,800人の重さに耐える設計とされます。
谷に橋を架ける案が、町の観光振興計画に入ったのは1993年です。もとになったのは、「谷に橋をかけりゃ滝も紅葉もきれいに見えるぞ」というひとことだと伝わります。1956年に、地元の商店会の会員が言ったものです。そのときは長老たちから、「寝ぼけている」「誰が金を出すのか」と相手にされなかったといいます。工事は2004年5月に始まり、2年半をかけて、2006年10月30日に開通しました。開通は、ちょうど紅葉の時期にあたりました。
橋の名前は、一般から寄せられた5,890点の中から選ばれました。“夢”の字は、架かるまでの長いあいだ、橋が夢のような話だったことにちなむといわれます。周辺の整備を含めた総事業費は20億円で、国や県の補助金は入っていません。来場者は2007年4月10日に100万人を超え、同じ年の9月16日には200万人に届きました。2017年3月1日には、1,000万人に達しました。
正面に見える震動の滝
大吊橋の正面に見える震動の滝(しんどうのたき)は、鳴子川渓谷に懸かる滝です。雄滝と雌滝からなり、落差は雄滝が83m、雌滝が93mあります。震動の滝という名は、雄滝の流れ落ちる勢いから付いたといわれます。雄滝は、落差では雌滝より小さいものの、水量の多い滝です。水が多いときには、あたりを震わせるほどの勢いがあります。
震動の滝は、日本の滝百選(全国から選ばれた100の滝)に選ばれています。雌滝は、とくに新緑や紅葉のころの眺めで知られます。雄滝と雌滝は、どちらも展望所と大吊橋の上から眺められます。
滝は古くから土地の信仰を集め、災害のたびに滝壺へ餅を供えて、龍神(水の神)の怒りを鎮めたと伝わります。文献に現れるのも早く、『船岡新宮八幡縁起』にこの滝が登場します。この書は、室町時代の1486年に書かれました。江戸時代後期の『豊後国志』にも、「震動の瀑」の名で書きとめられています。瀑は、滝のことです。
足もとの鳴子川渓谷と九酔渓の紅葉
標高777mに架かる橋の上からは、まわり360度の眺めが開けます。足もとの谷を流れる鳴子川は、筑後川の源流域の川です。谷を埋める原生林は、季節ごとに色を変えます。秋の大吊橋は、紅葉の新しい名所としても知られます。
九酔渓は、九州でも指折りの紅葉の名所とされる渓谷です。谷は夏に深い青を見せ、秋には赤く染まります。朝には、霧に包まれることもあります。新緑と紅葉のほか、滝の多い谷としても知られます。
九酔峡(きゅうすいきょう)とも呼ばれるこの谷は、玖珠川と鳴子川が合わさるあたりにあります。谷はV字の形に深く切れ込み、高低差は約200mあります。斜面には、モミやツガ、カツラなどの木々が茂ります。玖珠川の両岸には、約2kmにわたって断崖が続きます。谷沿いの道に、折り返すような急なカーブが続くことから、九酔渓には「十三曲がり」の別名もあります。1959年(昭和34年)には、大分県の名勝(すぐれた景色として指定される文化財)に指定されました。あたり一帯は、阿蘇くじゅう国立公園にも含まれます。
橋から遠くに見える、三俣山や涌蓋山などの山々は、くじゅう連山の記事で取り上げています。震動の滝や九酔渓の近くにある筌の口温泉(うけのくちおんせん)の歩みは、筋湯温泉の記事にまとめました。
出かける前に
橋の大きさと開通までの歩み、正面の震動の滝、足もとの鳴子川渓谷と紅葉の九酔渓を取り上げました。この記事は2026年10月に書きました。橋の通行や紅葉のようすは変わることがあるので、出かける前に、大吊橋の公式サイトで確かめてください。
よくある質問
- 九重“夢”大吊橋の高さと長さはどのくらいですか。
- 長さは390mで、川底からの高さは173mあります。歩道専用の吊橋としては、高さが日本一とされます。
- 九重“夢”大吊橋の上からは何が見えますか。
- すぐ目の前に震動の滝の雄滝と雌滝、足もとに鳴子川渓谷の原生林が見えます。紅葉の名所の九酔渓や、遠くの三俣山・涌蓋山なども眺められます。
- 震動の滝という名前の由来は何ですか。
- 雄滝の流れ落ちる勢いから、付いた名前といわれます。水量の多いときの雄滝には、あたりを震わせるほどの勢いがあります。
- 九酔渓はどんな渓谷ですか。
- 九州でも指折りの紅葉の名所とされる渓谷で、「十三曲がり」の別名もあります。大吊橋の上からも見渡せます。




