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田畑と町の向こうに、頂の平らな山が台のように立つ

伐株山と万年山 玖珠盆地のメサの山と大くすの伝説・ミヤマキリシマ

大分県玖珠町の伐株山は、切り株のような姿をした頂の平らな山です。メサ(卓状台地)とビュートの地形、玖珠の地名にまつわる大くすの木の伝説、上下二段の頂をもつ万年山と初夏のミヤマキリシマを紹介します。

伐株山(きりかぶさん)は、大分県玖珠町山田にある、頂の平らな山です。山の姿は、大木を切り倒したあとに残る切り株によく似ています。玖珠町の南には、同じく頂の平らな万年山(はねやま)がそびえます。二つの山は、どちらもメサ(卓状台地)と呼ばれる地形の山で、くすの大木の伝説でも結ばれています。

切り株の形をした伐株山

山の名の「伐株」は、切り株のことです。「伐」は、木を切り倒すことを表す字です。頂の平らな山の姿が、大木を切った跡に見えることから、名づけられたとされます。標高は約685mで、山全体は南から北へゆるく傾いています。頂上からは、まわりを山に囲まれた玖珠盆地を見渡せます。

頂には、山城の玖珠城の跡があります。朝廷が南と北に分かれて争った南北朝時代に、九州の南朝方の拠点になった城とされます。北西にのびる丘の上には、土を丸く盛った円墳をはじめ、大小の古墳が確かめられています。山の西と東の地区でも、弥生時代から古墳時代の遺跡が数多く見つかりました。

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玖珠盆地に集まるメサの山

頂の平らな山を、地形の言葉でメサと呼びます。メサは、スペイン語から来た呼び名です。固さの違う地質がとなり合うと、やわらかいほうが雨や風で先に崩れ、固いほうが残ります。この削られ方を差別浸食といい、残った固い部分がテーブルのような台地になります。

削られ方がさらに進むと、頂が狭まって、一つだけ離れて立つ丘になります。この形はビュートと呼ばれます。切り株の山は、メサの中でもこのビュートにあたり、その典型的な例に数えられます。一方の万年山は、メサが上下二段に重なった山で、全国的にも珍しい二重メサとして知られます。

玖珠盆地では、この二つのほかに、大岩扇山(おおがんせんざん)と青野山(あおやさん)もメサと呼ばれます。一つの地域にこれほどメサの山が集まるところは、ほかにあまり例がないとされます。なかでも切り株の山は、玖珠町のシンボルとして知られます。

二つの山は、耶馬日田英彦山国定公園に含まれます。この国定公園は、メサとビュートの山々も合わせた全体が、国内最大の溶岩侵食台地とされます。溶岩侵食台地は、溶岩の台地が削られてできた土地のことです。

大くすの木の伝説と玖珠の地名

玖珠の地名は、くすの大木にちなむといわれます。奈良時代の『豊後国風土記』には、昔この村に大きなくすの木があったので、「くす」の郡と名づけたと書かれています。風土記は、国ごとに、土地のようすや言い伝えを書きとめた書物です。

玖珠町に伝わる昔話では、くすの大木の影は、夕日をさえぎって、四国の松山までかかったと語られます。朝日がのぼるときには、有明海まで影が届きました。木は玖珠盆地の中ほどに、天にとどきそうな高さでそびえ、てっぺんはいつも雲の上にありました。田も畑も一日じゅう影になり、作物は育たず、病に倒れる人が続いたといいます。

困った人々は、この大木を切り倒しました。残った株が、いまの切り株の山だと伝わります。万年山には、倒れる大木がはね上げた土で山ができた、という言い伝えもあります。

万年山の頂の眺めと台地

万年山の頂からは、まわりの山々を360度見渡せます。くじゅう連山や由布岳のほか、熊本県の阿蘇山や福岡県の英彦山も望めます。晴れて条件のよい日には、長崎県の普賢岳まで見えることもあります。北には、玖珠盆地が広がります。標高1,140.3mの山頂は溶岩の台地で、東西3kmにもおよびます。平らな頂は二段に分かれ、下の段を下万年、上の段を上万年と呼びます。

実った稲の田の向こうに、平らな頂が横に長く続く山
万年山と稲田

万年山は、玖珠町を代表するメサの山で、九州百名山の一つにも数えられます。くじゅうの山なみのことは、くじゅう連山の記事で取り上げています。

万年山の頂のミヤマキリシマ

初夏の万年山では、頂上一面にミヤマキリシマの花が咲きます。ミヤマキリシマは、ツツジの仲間です。満開のころ、濃いピンク色の花で埋まるのが、「お花畑」と呼ばれる一帯です。群生地は、頂上の近くにもう1か所あります。

松の木の下の斜面を、桃色のミヤマキリシマが埋める
万年山のミヤマキリシマ

花のころには、この花を見るために、県の外からも登る人が訪れるといいます。切り株の山の頂でも、同じ初夏のころに、ミヤマキリシマとドウダンツツジの花が咲きます。

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出かける前に

切り株の形の山から、メサとビュートの地形、くすの大木の伝説、万年山の頂の眺めと初夏の花までをたどりました。この記事は2026年10月に書きました。山頂のようすや花の咲くころは変わることがあるので、出かける前に、玖珠町観光協会の案内で確かめてください。

よくある質問

伐株山はどんな山ですか。
大分県玖珠町山田にある、標高約685mの頂の平らな山です。名は、山の姿が大木を伐った跡の切り株に見えることに由来するとされます。
メサとビュートはどう違いますか。
メサは、やわらかい地質が先に削られ、固い部分が残ってできたテーブルのような台地です。メサがさらに削られ、頂が狭まって離れて立つ丘になったものがビュートで、伐株山はビュートにあたります。
伐株山と万年山には、どんな伝説がありますか。
玖珠盆地にあったくすの大木を人々が切り倒し、その切り株が伐株山に、倒れるときにはね上げた土が万年山になったと伝わります。玖珠の地名も、くすの大木にちなむとされます。
万年山のミヤマキリシマは、どこに咲きますか。
初夏に、頂上一面に咲きます。群生地は頂上の近くに2か所あり、一方は「お花畑」と呼ばれます。

出典

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